空を制する ― アジア太平洋地域のための航空優勢を高めるソリューション
アジア太平洋地域の米国の同盟国が増大する地域の脅威に対処する中、航空優勢の重要性が急速に高まってきました。近年、レイセオン・インテリジェンス&スペース(RI&S)はこの市場に力を注いでおり、レーダーから電子戦(EW)機器に至るまであらゆる技術や製品を強化してきました。
アジア太平洋地域の航空優勢に関連する市場では、RI&Sの事業は、長年に亘るパートナーとの関係のもとに成り立っています。
同社の多くの技術が日本で任務にあたっておりますが、例えば、AN/APG-63レーダーシステムは、日本のF-15戦闘機に搭載されています。現在、これらを最新式のAPG-82 AESAレーダーシステムベースラインへ能力向上するための検討が進められていますが、レイセオン・テクノロジーズは、当該プラットフォームについて航空機メーカーのボーイングと緊密に連携しています。
RI&SのF-15プログラム担当副社長ミシェル・ステチェンスキーは次のように述べています。「我々は、日本にて非常に多くの事業を受け持っており、お客様と日常的に連携することによって、維持管理から次期戦闘機までニーズに確実に応えています」
「近年、日本の航空優勢に対するニーズは増大しており、日本政府は第6世代の国産戦闘機であるF-X開発を重んじてきました。この航空機を開発するにあたって、日本の産業界は海外企業との提携を検討することが予想されています。このような最先端の航空機が不可欠である一方、陸・海・空・宇宙・サイバーがますます複雑に絡み合うマルチドメインオペレーションを背景に、航空優勢は今や、必ず確保しなければならないものとなっています」
日本は「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」で、自衛隊にとって宇宙・サイバー・電子戦(EW)が極めて優先順位が高いと明言しています。そして、これらは過去10年間、RI&Sが重点的に取り組んできた分野だとステチェンスキーは述べた上で、「このような技術、ひいては、それによって能力を与えられ同時に防御されてきた航空機は、この10年多くの点で進化を遂げ、オペレーターが新たな脅威に適応できるよう能力が高められてきました。我々はパートナーのために次世代技術を開発しながら、10年に亘って航空機の近代化と維持管理の支援という継続的なニーズに応えてきました。」と続けました。
RI&Sは、オープンアーキテクチャーシステムに精通しているので、幅広い製品を通じて迅速な改修や高い拡張性を実現しています。製品の例として、APG-82のようなレーダーや、次世代中帯域電波妨害装置(NGJ-MB)、米海軍のF/A-18 E/F用デュアルバンド・デコイといったEWシステム、MTSセンサー(マルチスペクトルターゲティングシステム)のようなEO/IR(電子光学/赤外線)技術があります。
このようなシステムには、システムやプラットフォームにとらわれないサポートがますます決定的となってきていますが、そのためにはサイバーセキュリティーに注力していく必要があるとステチェンスキーは強調します。
「これこそが今後の脅威に対する最前線となるでしょう。RI&Sの日本における事業は、広くアジア太平洋地域で展開される活動の一環であり、RI&Sはこの地域の国々に、NGJ-MBから火器管制レーダーまで様々なシステムを提供してきました。その他の主要な市場としては、韓国、オーストラリア、シンガポール等があります。当社は、この地域において、RI&S全体に求められる防衛上そして安全保障上の所要に対し、持てる性能、拡張性、力を振るっています」
航空優勢に関する技術が進化する一方で、こうした技術の開発方法もまた、進化しています。これは、デジタルエンジニアリングの分野において特に顕著です。
「『デジタルツイン』のようなコンセプトの活用を通して、設計プロセスやプログラムのライフサイクル全体が、はるかに高速化されました。RI&Sは今まさにこのような技術に力を注いでいます」とステチェンスキーは述べています。
「初期設計から、サプライチェーン、オペレーション構築に至るまですべてのシステムを統合させることで、能力をより早く手に入れられるようになるのです。当社は既に多くのプログラムにこの手法を組み入れ始めています。そしてこの技術は、次期戦闘機にも、その誕生から最後まで、応用できると確信しています。」
「デジタルエンジニアリングの目的は、製品開発サイクルを支援して能力の生産を加速することにあります。これこそが、RI&Sにとって核となる能力なのです。組織の一幹部として意識している点は、デジタルエンジニアリングを『現行のプログラムに組み入れて利益をもたらすこと』」だと説明します。
航空優勢分野における例のひとつとして、当社のコモン・オープン・セキュア・ミッション・コンピューター(COSMC)が挙げられます。プラットフォームにとらわれないシステムなので、固定翼機であろうと回転翼機であろうと、どのような航空機にでも活用することが可能です。2020年後半、RI&SはCOSMCを米国の特殊作戦軍に提供する契約を獲得しました。
DevSecOps、すなわち、反復的アプローチをCOSMCのソフトウェア開発で行うことで、顧客やオペレーターというインターフェースを通じ、ソフトウェアはサービス終了まで絶えず改善され続けます。よって「5~10年前に開発されたものに比べてはるかに迅速にシステムを実装できるようになります」とステチェンスキーは説明しています。
「ユーザーは、これまでのように開発サイクルの開始/完了に捕らわれることはありません。これからのアーキテクチャーは継続的に開発、継続的に統合、継続的に成熟され、必要なものが原則完成した状態で提供することができるのです」
ステチェンスキー氏は、オープンアーキテクチャーのシステムは今後数年で大幅な発展を遂げて、航空優勢技術の構築や改修が格段に容易になるであろうと予想しています。
RI&Sはすでに、このような進化をAPG-82等のレーダー製品において経験しています。数十年ものあいだ、APG-63の提供によって日本を支援し、また将来的にも支援を続けることに変わりはありませんが、APG-82は日本にさまざまな新能力をもたらし、日本が地域における脅威に対処することを可能とするでしょう。
ステチェンスキーによれば、RI&Sはより広範囲の航空優勢市場において、短中期的にいくつかのマイルストーンを達成する見込みだと言います。例えば、今月中には米海兵隊に一基目のAN/APG-79 (v) 4 AESAレーダーシステムを納入し、その後、飛行試験を実施する予定になっています。
また、APG-82レーダーはボーイングF-15 EXに搭載され2021年2月にすでに初飛行を行っていますが、NGJ-MBについても、飛行試験を継続する予定であるとしています。
「我々のチームは、ボーイング社にレーダーを極めて迅速に納入してニーズに応えるという、素晴らしい成果を達成しました。F-15 EXの米国市場に参入することは興味深いですが、F-15 EXの国際市場への参入もまた非常にやりがいのある任務になるでしょう。」